第11話 西日の部屋

洗濯物を干していたのをすっかり忘れていた。

もう夕方とも言える時間に、慌ててベランダに出て取り込んだ。

西日が部屋の中を照らし、とても暖かく明るい。
タオルを部屋に放りこんだら、ネコのあなたがいた。ついて来たのだろう。
私はあなたに構わずドンドン洗濯物をはたいては、部屋に放りこんでいった。

全部取り込んだところであなたの様子を見ると、ひたすら匂いをかぎ、ウロウロしてる。
座って洗濯物を畳み始めたら、あなたはノンビリ毛づくろいを始めた。

それまで私の手は急いで必死に畳んでいたのである。急ぐ理由なんて無いのに。

私の手が少しずつノンビリ動く頃には、あなたは寝てしまった。
私は西日を眺め、畳んだ洗濯物の山をまわりに積み上げて、気持ち良さそうなあなたのイビキの音を聞いていた。


もう少しだけこうしていよう。
夕ごはんを作るにはまだ早いし、ここは気持ちがいいもの。

西日が夕日になろうとしていた。

コメント

洗濯物の上には乗らなかったですか?
タマコロ | 05/07
猫ちゃんとのんびり 何だか心も身体も癒されて
じゅん | 05/05
初めてコメントさせてもらいます♪毎回読むたびに何故か涙が…。不思議な気持ちになります。猫の性格・性質がそのまんま伝わってきます。表現の仕方が遠回しなのに猫の神秘的なところがストレートに出ている。猫との生活の素晴らしさが実感できる内容に毎回感動させてもらってます。
どらニャンコ | 05/04
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