『さよならエルマおばあさん』

ちょっぴり悲しくも、尊く美しい死のはなし

著者:大塚敦子
定価:¥1.365
出版社:小学館

 こんなときだから、ちょっぴり死について考えたくなる。そう思って手に取った一冊がこの「さよならエルマおばあさん」。病気の告知を受けたエルマおばあさんが死を迎えるまでの一年間を追った内容で、愛猫・スターキティの眼を通しておばあさんと家族の絆が描かれています。

 日に日に痩せ衰えていく姿を克明に映しだす写真の数々に最初はとまどってしまいましたが、とにかくエルマおばあさんの語る言葉が優しく、美しく、愛に溢れていて、心の深い部分にズシンときます。エルマおばあさんを慈しみながら見送る家族、寄り添う猫の真っすぐな眼差し、死を真正面から受け止めた魂の一冊。家族、そして愛猫と共にこんな最期が迎えられたら、これ以上の幸せはないかもしれません。

 ショッキングでありつつも美しく、そして力強い。悲しみのなかにも深い愛が感じられる内容なので、子供が小学生くらいになったら読み聞かせてみたいと思います。

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(竹田)

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