『猫のいる日々』

猫にまみれた作家。

著者:大佛次郎
価格:¥580(税込)
出版社:徳間書店


 『赤穂浪士』などの作品で有名な作家、大佛次郎は愛猫家としても有名だった。以前、新聞に大佛次郎が自宅の台所で、きちんと並んで御飯を食べている猫たちを見ている写真が掲載された。その大佛のなんとも言えないうれしそうな表情! ちなみにその写真には6~8匹くらい写っていたと思う。
 
 しかし、その写真に掲載されていた猫は、大佛と一緒に暮らした猫のほんの数匹にすぎなかったというのが、本書でわかる。なんと! 大佛邸で暮らした猫は総勢で500匹以上だというのだ。500匹......! 呆れるというか、変人というか......。
 
 創作活動を続ける大佛の頭の片隅にはいつも猫がいたのだろう。そうでないとこれほどの本数の猫エッセイが書けるはずがない(猫の小説も収録)。大佛は猫と適度の距離を保ちつつ、エッセイを書いている。それだけにとても読みやすい。しかし、作品では猫と距離をとっていた大佛も、いったん一人と一匹になるととても人様には見せられない、単なる猫バカの一人だったにちがいない、と僕は思う。
 
 そう確信させる一冊です。

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(URA EVO)

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