そばにいるだけなのに。
著者:南木佳士
定価:¥505
出版社:文藝春秋
内科医であり作家でもある著者がうつ病を患い、「死」を意識し始めたころ、一匹の猫と出会い、再生するまでの日々を描いたノンフィクション。
ふとした偶然で出会い、家に迎え入れられることになった猫、トラ。トラは他の猫同様、何もしない。そして、大して手を煩わせることもない。しかし、仕事であまりにも多くの「死」を見すぎたせいか、心を病み、「死ぬ」ことを意識しだした内科医である著者にとって、トラはかけがえのない存在へとなっていく。そしてそれは同時に、著者だけでなく、その家族にとっても同様で、切れかけそうになった危うい家族の絆をつなぎ止めていたのはこの猫の存在だった。
粗筋だけ読むと、非常に重々しい雰囲気が漂います。事実、読み進めるのに辛い部分もありますが、本書ほど表現が難しい、つかみどころのない猫という動物を見事に描ききっている本はそうはないように思います。
僕の猫本BEST3に間違いなく入る本です。
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(URA EVO)
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